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犬の熱中症の症状と応急処置の方法とは?予防策や対策グッズも紹介

犬も人間と同じように熱中症になるリスクがあり、重症の場合は死亡や後遺症の危険もあるため対策が必要です。

本記事では、犬の熱中症の症状や、応急処置の方法について解説します。また、熱中症の初期症状や予防策、熱中症対策グッズなども紹介するので、愛犬が熱中症で苦しまないためにもぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.犬の熱中症の症状とは?  
  2. 2.犬の熱中症の初期症状
  3. 3.犬の熱中症の危険性について
  4. 4.すぐに病院に行くべき症状とは? 
  5. 5.犬の熱中症の応急処置の方法
    1. 5.1.1.涼しい場所に移動させる
    2. 5.2.2.水や氷で冷やし風を当てて体温を下げる
    3. 5.3.3.水分を与える
    4. 5.4.4.病院に連絡して診察を受ける
  6. 6.犬の熱中症を防ぐための予防策
    1. 6.1.室内の温度と湿度を管理する
    2. 6.2.散歩の時間を調整する
    3. 6.3.水分補給をこまめにさせる
    4. 6.4.散歩や外出時は水分補給と対策グッズを活用
    5. 6.5.飼育環境に注意する
    6. 6.6.車内やエアコンのない部屋に絶対に放置しない
  7. 7.熱中症対策グッズを紹介
  8. 8.熱中症になりやすい犬種や特徴
  9. 9.犬の熱中症に関するQ&A 
    1. 9.1.Q.犬の熱中症の回復期間は?
    2. 9.2.Q.犬の熱中症の後遺症のリスクは?
    3. 9.3.Q.犬の熱中症のサインは?
    4. 9.4.Q.犬の熱中症の際の冷やす場所は?
  10. 10.犬が熱中症の疑いがある場合は獣医師にオンライン相談しよう
  11. 11.熱い夏は犬の熱中症対策をしておこう!


犬の熱中症の症状とは?  

犬の熱中症の症状は、軽度、中等度、重度の症状に分かれます。具体的な症状については、以下の通りです。 

分類
主な症状
軽度

口を開けて大きくハアハアと呼吸をする(パンティング) 
よだれがでる 
ふらつき 
歯肉や粘膜の充血やうっ血 
心拍が早い 
水を飲まない 
ご飯を食べない 

中等度~重度 

筋肉の痙攣や震え 
嘔吐や下痢 
意識がない 
ぐったりして動かない 
呼びかけても反応しない 
嘔吐物や排泄物に混じる 
歯茎が白くなる、舌や粘膜が青紫になる(チアノーゼ)


※“公益財団日本動物愛護協会「ペットの熱中症について」”参照 


犬の平熱は37~39℃程度(※1)と人間よりも体温が高いため、すぐに40℃を超えてしまうケースがあるため注意が必要です。

40℃を超えると熱中症の疑いがあり、重篤化するケースも少なくありません。 
 
重篤化すると、筋肉の震えが生じたり、ぐったりとして意識がなくなったりする症状が見られます。

さらに、これらの症状に付随してDIC(播種性血管内凝固症候群)を発生する可能性があり、高い確率で死に至るケースも多い危険な病気(※2)です。 
 
まずは、熱中症が疑われる症状を確認し、適切な対応を行いましょう。熱中症の症状が疑われる場合は「どのような状況にどのくらいの時間いたのか」「どのような症状があるのか」を伝えられるように準備しておきましょう。 


 
※1:“埼玉県獣医師会「熱中症に注意しよう」”参照 
※2:“一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」”参照 


犬の熱中症の初期症状

犬の熱中症の初期症状は、以下の通りです。 
 

  • 口を開けて大きくハアハアと呼吸をする(パンティング) 
  • よだれがでる 
  • ふらつき 
  • 歯肉や粘膜の充血やうっ血 
  • 心拍が早い 
  • 水を飲まない 
  • ご飯を食べない 

 
上記の症状(※)が見られる場合、熱中症の初期症状の疑いがあります。散歩後はパンティングをする子が多いですが、少し様子を見ても呼吸や心拍が落ち着かない、元気がないといった症状が見られる場合は熱中症を疑いましょう。 
 
体温測定が可能な場合は、直腸(肛門)で測定をします。40℃を超える場合には、熱中症である可能性が高いので、早めに獣医師にみてもらいましょう。 


※“公益財団日本動物愛護協会「熱中症かも!どうしたらいいの?」”参照 
※“一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」”参照




犬の熱中症の危険性について

犬の熱中症は、死亡率が高い病気といわれているため注意が必要です。

犬は暑さに弱い動物であるため人間よりも熱中症にかかりやすく、重症化して毎年熱中症で亡くなる事例も少なくありません。 
 
犬の体温が上昇し、42℃~43℃(※)に上昇した状態が数時間続くと死亡する危険性が高くなります。手遅れになる前に、軽度の熱中症の症状であってもすぐに応急処置をしたり、獣医師に相談したりすることが大切です。 
 
※“さいたま市「犬の熱中症に注意しましょう」”参照 


すぐに病院に行くべき症状とは? 

犬の熱中症ですぐに病院に連れていくべき症状は、以下の通りです。 
 

  • 筋肉が震える 
  • 嘔吐や下痢 
  • 呼吸困難 
  • ぐったりして動かない 
  • 意識がなくなる 
  • けいれん発作 
  • ARDS(急性呼吸促迫症候群) 

 
上記の症状は、中等度、重度の熱中症の症状のため、すぐに病院で適切な処置を受けましょう。また、軽度の場合でもこの後紹介する応急処置を行いながら、早めに病院で診てもらうことをおすすめします。 


 
※“一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」”参照 



犬の熱中症の応急処置の方法

愛犬が熱中症の疑いがある場合は、すぐに応急処置を行うことが大切です。病院につくまでの間でも、以下の応急処置を行いましょう。 


1.涼しい場所に移動させる


まずは、愛犬を涼しい場所に移動させましょう。室内や車内であればエアコンを25℃程度(※)、湿度は50%前後に設定し、屋外であれば日陰で涼しい場所に移動します。 
 
とくに散歩中や外出中の場合は、水道が近くにある場所がよいでしょう。近くに水道がない場合は、自販機やコンビニなどで水を用意してください。 


 
※“一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」”参照 

2.水や氷で冷やし風を当てて体温を下げる


次に、水で愛犬の体を冷やします。

冷やす場所は、太い血管が通っている“首、脇の下、太ももの付け根”の部分を冷やしましょう。常温の水を体に当て、扇風機やうちわなどで風を送ると体温が下がりやすくなります。 
 
また、効率的に体温を下げるために、濡れタオルで体を冷やしたり、部分的に氷や保冷剤を使ったりする方法も効果的です。氷や保冷剤を使用する際は、体に直接当てるのではなく、氷のうやタオルに包んで使用してください。 


ただし、体を冷やしすぎると低体温状態となる可能性もあります。病院では39.5℃以下に熱が下がるまで体を冷やす処置が行われている場合が多いため、犬の体温にも注意しましょう。 


3.水分を与える


愛犬の意識があり、自力で飲めるようなら水分を与えます。愛犬が水を飲まない場合は、無理に飲ませず体を冷やしながら動物病院に連れていきましょう。 



4.病院に連絡して診察を受ける


上記の応急処置を行い、症状が落ち着いたら病院に連絡して診察を受けるのがおすすめ。熱中症は危険な状態の場合、合併症や死亡のリスクもある危険な病気です。自己判断で万が一のことがあった場合、後悔してもしきれません。 
 
愛犬が落ち着いた状態でも、獣医師に一度相談し、今後の指示を仰いでもらいましょう。熱中症の際に病院で行われる処置は、以下の対応が挙げられます。 
 

  • 冷水浴(体温が39.5℃以下になるまで) 
  • 点滴 
  • 酸素吸入 
  • 各種検査 




犬の熱中症を防ぐための予防策

ここからは、犬の熱中症を防ぐための予防策について解説します。

年々気温は高くなり、犬も人も同様に熱中症のリスクが高まっているので、熱中症の危険がある日は予防策を行い、熱中症にならないように対策をしましょう。 


室内の温度と湿度を管理する

熱中症の予防策の1つ目は、室内の温度と湿度を管理する方法です。犬に適した室内の温度は25℃程度、湿度は50%前後(※)とされています。 
 
エアコンの風が愛犬に直接当たらないようにし、冷気が下部に滞留しないように扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることも大切です。 
 


※“一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」”参照 


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散歩の時間を調整する


また、外を歩く際は日中の暑い時間を避けるのも大切。炎天下の道路のアスファルトは肉球をやけどしてしまうくらい熱くなっています。強い日差しと高い気温、アスファルトから放出される輻射熱(ふくしゃねつ)によって、犬が散歩する環境に適していません。 
 
夏場は、比較的涼しい早朝と太陽が沈んだ夕方以降に散歩するようにしましょう。



水分補給をこまめにさせる


熱中症の予防には、愛犬に水分補給をこまめにさせることも大切。きれいな飲み水がいつでも飲める状態にし、外出の際には水が空になっていないか、器が倒れないかなどをチェックして出掛けましょう。 
 
愛犬が毎日どれだけ水分を飲んでいるかチェックするのもポイント。毎日の水分摂取量を把握することで、愛犬の体調の変化が分かるようになります。 



散歩や外出時は水分補給と対策グッズを活用

熱中症を予防するには、散歩や外出時にもしっかりと水分補給を行うことがポイント。

出掛けると忘れがちになってしまいますが、携帯用のウォーターボトルや水ボウルなどを持参し、こまめに水を与える習慣を付けましょう。 
 
また、犬の熱中症対策として、首元を冷やせるクールバンド、空調ペット服などさまざまな対策グッズが販売されています。こうした対策グッズを活用しつつ、快適にお散歩や外出を楽しめる環境づくりも大切です。


飼育環境に注意する


犬の熱中症を予防するには、飼育環境にも注意しましょう。ゲージ内で飼育している場合は、日中太陽が当たり続けていないか、風通しがよいかどうかなどを確認しましょう。 
 
外飼いの場合は、日中の暑さが厳しい時間だけでも室内(涼しい場所)に入れてあげることも検討してください。

難しい場合は、愛犬が過ごす空間が風通しのよい日陰になるように配慮し、冷感マットや温度管理ができるペットハウスなどを活用するのがおすすめです。 
 
外飼いの飼育環境の対策法は、以下の例があります。 

  • タープやすだれで日陰を作る 
  • 扇風機やサーキュレーターで通気性をよくする 
  • 犬小屋に冷感マットを敷く 
  • アスファルトやコンクリートの近くに犬小屋を設置しない 
  • 温度管理ができるペットハウスを設置する 



車内やエアコンのない部屋に絶対に放置しない


犬を車内やエアコンのない部屋に放置しないことも熱中症対策の1つ。熱中症の多くは、エアコンのついていない部屋や車内で発症したケースが多くあります。 
 
JAFが行った検査では、炎天下の車内は、エンジンを停止させてわずか30分で約45℃を記録(※)。4時間経過後には、55℃を超えており、かなり厳しい車内温度になることが分かります。 
 
窓を開けていても車内はサウナのように熱くなるため、絶対に車内に犬を放置しないようにしましょう。 


 
※“JAF『[Q] 晴天下(炎天下)のクルマの室内はどのくらい温度が高くなりますか? 夏編』”参照 




熱中症対策グッズを紹介

熱中症を予防するためには、以下のような熱中症対策グッズを活用するのがおすすめです。 
 

  • 冷感マット 
  • 冷感寝具 
  • ペット用冷感服 
  • ペット用空調服 
  • 温度管理できるペットハウス 
  • 冷感スプレー 

 
冷感マットや冷感寝具、冷感服は、触れたときにひんやりと感じるのが特徴。空調服にはファンがついており、涼しい風を送ることでクールダウンが期待できます。 
 
また、冷感スプレーはメンソールリキッドがひんやりと感じられるのが特徴で、虫よけ対策にもなるのがうれしいポイント。

温度管理できるペットハウスは、ペットハウス内の温度や湿度を調節できるものが販売されているため、室温調節だけでは不安な方におすすめです。 


熱中症になりやすい犬種や特徴

犬には、熱中症になりやすいといわれる犬種があります。以下で熱中症になりやすい犬種について紹介するので、愛犬が当てはまる飼い主さんはとくに熱中症予防対策を講じてあげましょう。

種類
理由
犬種一覧

短頭種 

鼻が短く口腔の面積が狭いため、唾液を気化して逃がすのが苦手

フレンチブルドッグ、パグ、シーズーなど 

肥満

脂肪によって体内に熱がこもりやすい、首周りの脂肪によって呼吸機能が低下し、体温調節が難しい

全犬種
老犬

体温調節機能が低下している、認知機能不全症候群で水を飲む場所を認識できない、長時間吠え続ける等の症状による脱水

全犬種

疾患がある犬

循環器疾患、慢性呼吸疾患、内分泌疾患、脳神経疾患、腎疾患など 

全犬種


※“公益財団日本動物愛護協会「ペットの熱中症について」”参照 
※“一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」”参照 


犬の熱中症に関するQ&A 

ここからは、犬の熱中症に関する質問と回答を紹介します。


Q.犬の熱中症の回復期間は?


犬の熱中症の回復期間は、軽度の場合は数日、重度の場合が数週間かかる場合があります。

回復期間中に様子を見るだけでは処置が遅くなる可能性もあるため、軽度の場合でも一度獣医師に相談してみるのがおすすめです。 



Q.犬の熱中症の後遺症のリスクは?


犬の熱中症は、脳障害や腎不全、心臓疾患などの後遺症が残るケースがあります。 
 
熱中症による合併症は、循環不全による脳、組織の酸欠を起こし、呼吸不全や急性腎障害、血液凝固傷害、消化管障害、中枢神経障害などを引き起こす可能性があり、さらに進行すると死亡の可能性もある危険な病気です。 
 
これらの合併症は、体温が下がった後も進行するため、熱中症を予防することがとても大切です。
 


Q.犬の熱中症のサインは?

犬の熱中症のサインは、以下のようなものが挙げられます。 
 

  • ハアハアと呼吸が荒い(パンティング) 
  • 心拍が早い 
  • 食欲がない 
  • 水を飲まない 
  • 足元がフラフラしている 
  • 体温が40℃以上ある 
  • 目や口の粘膜が充血している 
  • 元気がない 

 
また、嘔吐や下痢、呼吸困難、筋肉の震えなどの以下の症状がある場合は、重症度が高い症状となります。すぐに応急処置を行い、獣医師に診てもらいましょう。 
 

  • 筋肉が震える 
  • 嘔吐や下痢、吐血や血便 
  • 呼吸困難 
  • ぐったりして動かない 
  • 意識がなくなる 
  • 発作を起こす 
  • 歯茎が白くなったり、舌や粘膜が青紫になる(チアノーゼ) 



Q.犬の熱中症の際の冷やす場所は?


犬が熱中症の際の冷やす場所は、太い血管が通っている“首、脇の下、太ももの付け根”の部分を冷やしましょう。

常温の水を体に当て、扇風機やうちわなどで風を送ると体温が下がりやすくなります。 



犬が熱中症の疑いがある場合は獣医師にオンライン相談しよう

SAISONのペットオンライン診療は、獣医師にオンライン相談できるサービス。犬の熱中症の相談にも対応しており「動物行動学」の観点から、なぜそのような行動をとるのか要因を分析して、改善に取り組む診療方法を提案します。 
 
【以下のようなお悩みに対応】 
・愛犬が熱中症かもしれない 
・元気がない 
・食欲がない 
・どのように対処したらいいのか分からない 


最初に、愛犬がどのような状態なのかしっかりカウンセリングを行い、プランを一緒に検討できるのもポイント。動物病院へ通院する必要がないので、愛犬にストレスをかけずに診察を受けることが可能です。 
 ※オンライン診療には、システム利用料280円(税込)が利用都度かかります。会員登録料は無料です。 


獣医師に相談する



熱い夏は犬の熱中症対策をしておこう!

愛犬が熱中症の疑いがある場合は、応急処置を行い、速やかに獣医師に診てもらうことが大切です。

犬の熱中症は、悪化すると合併症や死亡の可能性もあります。愛犬が熱中症で苦しまないためにも、本記事で紹介した対処法や予防策を参考に、熱中症対策を行ってみてください。 

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